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AIによるAIを用いたロボットの作り方入門 — コンセプト方針書

本書はチュートリアルサイト「AIによるAIを用いたロボットの作り方入門」の編集方針を定める 1 枚もののコンセプト資料である。各章の執筆・分業に入る前に、本書で「対象読者」「スコープ」「トーン」「安全啓発の扱い」を揃えることを目的とする。

章ごとに前提知識・語り口・安全喚起の濃さがズレると、初心者読者は一気に迷子になる。本書は 「各章執筆者(人間・エージェント問わず)が最初に必ず読む共通ルールブック」 として運用する。


1. プロジェクトの目的

「小中学校の理科の授業しか覚えていないが、自分でロボットを作ってみたい」個人開発者が、部品を焼損させずに・自分でデータシートを読みながら、最終的に「自作の動くロボット」を一台完成させられるようになることをゴールとする。

AI エージェント全盛期における差別化

MCU 選定、スケッチコードの例示、簡単なデバッグ提案 — これらは ChatGPT / Claude などの汎用 AI エージェントに任せられる時代になった。本書もそれを前提にする。

ただし AI に任せきれない経験知 は依然として残る。本書はそこに集中する。

  • 電気の基礎を押さえていない人間が AI の提案を受けても、焼損事故は止まらない。定格超過や電源分離不備は AI には一次情報(その場での電流・電圧・熱)が見えないので防げない
  • 実機を触っていない AI は「GND 繋がっていない/はんだが冷えている/モータ電源が落ちている」の切り分けができない。現場判断は人間側が持たなければ詰む
  • ロボットはハードなので、筐体・駆動部の物理的な設計判断も必要。AI はまだ手で試作できないため、寸法・剛性・取り付けの勘所は人間が押さえておく必要がある

本書はこの 「AI 時代でも人間側に残る、電気・機械のフィジカルな経験知」 を体系化する。既存のロボット入門書に対しては、次の 3 点で差別化する。

  1. 動くものを早く出す × データシートの読み方を最初から教える(従来の入門書と教科書の中間)
  2. フェーズ別のワークフロー(設計 → 組み立て → テスト前 → テスト中 → デバッグ)で、MCU 非依存の共通作業知を体系化
  3. 電気系だけでなく機械系もカバー(ロボットの完成には両輪が必要)

2. ターゲット読者像(ペルソナ)

想定する「できること」

  • パソコンの基本操作(OS インストール、エディタでの文字入力、ターミナルでコマンド実行)
  • 中学理科レベルの知識:オームの法則(V=IR)は見れば思い出せる、直列・並列の違いはなんとなくわかる
  • Python または C のサンプルコードを 写経して動かす ことはできる
  • はんだごての使用経験は問わない(本書で教える)
  • ChatGPT / Claude などの汎用 AI エージェントを日常的に使える(本書が焦点を絞るための前提)

想定する「できないこと/知らないこと」

  • オシロスコープ・ロジックアナライザは持っていない(テスタは持っている or 買う前提)
  • データシートを見たことがない、あるいは見ても「どこを見ればいいか」がわからない
  • 「プルアップ/プルダウン」「オープンドレイン」「ソース/シンク電流」という用語を知らない
  • 3.3V と 5V の混在で何が起きるか、直感的にはわからない
  • トランジスタ/MOSFET を「スイッチとして使う」という発想がない
  • 工具は使えるが、機械設計(筐体の強度、モータ選定、ギア比の計算)は未経験

想定しない読者

  • 大学で電子工学を専攻した人(本書は物足りないはず)
  • すでに Arduino で LED チカチカができて、次に何を学ぶか迷っている中級者(対象にしてもよいが、最優先ではない)

ルール:各章は「上記ペルソナが読んで理解できるか」を唯一の合格基準とする。章の途中で未定義の用語が出たら、その章内で定義するか、既出章へのリンクで解決する。


3. スコープ(扱う / 扱わない)

扱う:電気系

  • 直流モータ(ブラシ付き)、サーボモータ、ステッピングモータの駆動
  • LED(高輝度含む)の点灯と、電流制限の考え方
  • 基本センサ:スイッチ、ポテンショメータ、測距センサ、IMU、エンコーダ
  • 電源設計:電池・AC アダプタ・DCDC、ロジック電源とモータ電源の分離
  • データシート読解:絶対最大定格、推奨動作条件、電気的特性、ピン配置、タイミングチャート
  • ごく簡単な制御:On/Off、PWM、ブロッキング回避、割り込み、最低限の P 制御

扱う:機械系(v0.5 追加)

  • 筐体の選択肢:アクリル板・アルミフレーム・3D プリント部品の使い分け
  • 駆動部の基礎:車輪、ギアボックス、シャフト結合(D カット/イモネジ/フレキシブルカップリング)
  • モータマウントの設計と取り付け
  • 重量・剛性・重心・バランスの考え方
  • 配線の機械的管理(ケーブルタイ、熱収縮チューブ、コネクタ選び、取り回し)

扱う:フェーズ別ワークフロー(v0.5 追加)

  • 設計フェーズ:要件定義 → AI エージェントへの相談 → 部品選定 → BOM
  • 組み立てフェーズ:ブレッドボード配線原則、はんだ付け基本、配線管理
  • テスト前チェック:電源投入前の検証リスト(ショート・極性・ロジック電圧・電源分離)
  • テスト中チェック:投入直後〜動作確認(VCC 実測・発熱・シリアル出力・ブラウンアウト判定)
  • デバッグ方法論:GND 確認・電圧実測・シリアル print・分離テスト・症状別対処

扱わない(少なくとも v1 では)

  • MCU の個別ボード詳細(Arduino / RasPi / ESP32 / M5Stack 等の「このボードはこうセットアップする」)
    • AI エージェント+公式チュートリアルに委ねる。付録に最小メモのみ置く(§7)
  • ROS/ROS 2 を使った本格的な自律移動(別サイト/別シリーズに委ねる)
  • 基板設計(KiCad など):ブレッドボード+ユニバーサル基板までを範囲とする
  • 機械の本格的 CAD 設計:Fusion 360 入門、FEM 解析、モータの厳密な選定計算(負荷トルク×慣性等)は範囲外。紹介にとどめ、専門書/公式チュートリアルへ誘導
  • 高電圧・AC 系(感電・発火リスクが高く、初心者向けで扱うのは不適切)

4. 安全ファースト方針

本書の最大の差別化要素。「焼損事故で心が折れる前に、焼損事故を未然に防ぐ知識を与える」ことを核にする。

方針

  • 第 1 章を安全意識・工具・部品に充てる。個人開発特有のリスク(一人作業・疲労・止める人がいない)と、段階的プロトタイピング(乾電池 6V から試作を始める)を明示的に扱う
  • 第 2 章を電気的な安全基礎に充てる。LED チカチカより先に「電流制限抵抗がないと何が起きるか」「GPIO に直接モータをつなぐと何が起きるか」を NG 事例+データシート根拠 で見せる
  • 各章の冒頭に 「この章で壊しやすいもの」欄 を置く。具体的な型番と失敗パターンを明示
  • 各章末に 「動作確認チェックリスト」 を置く(例:電源投入前にテスタで短絡確認したか、論理電圧を間違えていないか、など)
  • 危険な作業(リポバッテリ充電、はんだごて、高輝度 LED の直視)は Material for MkDocs の !!! danger admonition で強調する。注意喚起の重複を恐れない

トーン

  • 「脅す」ではなく「根拠を示す」。「危ないからやめろ」ではなく「データシートの 5 ページに絶対最大定格 40mA と書いてある、君は今これを超えようとしている」と書く
  • 読者を子ども扱いしない。大人の個人開発者が相手なので、淡々と事実とリスクを伝える

「故意の破壊」と「意図しない事故」を区別する(第 1 章 §6.1 に結実)

  • 本書の NG 事例は データシート根拠で「何がどう壊れるか」が予測できている破壊 — 実機では試さないと明記し、頭の中だけで追う
  • 現場の事故は 予測できない破壊 — 被害が波及する範囲も予測できず、最悪ケガ・物損に至る
  • NG 事例を頭で追うことで 前者を学び、後者を避ける のが本書全体の狙い

個人開発特有のリスク(第 1 章 §6.2 に結実)

商用開発にない個人開発の固有リスクを明示する。

  • 一人作業 → 事故発見が遅れる
  • 疲労時・深夜作業 → 判断ミスが増える
  • 止める人がいない、安全レビューの仕組みがない
  • 生活空間と未分離(キッチン・寝室での作業)

これらは意識では解消できないため、物理的な対策(机の片付け・消火手段・時間制限・声かけ・作業ログ)を第 1 章 §6.4 で提示する。

段階的プロトタイピング(第 1 章 §6.5 に結実)

ショート事故の被害は電圧より「電源がショート時に流せる電流」で決まる。したがって:

  • 試作は 乾電池 4 本(6V、1〜2A) から始める。ショートしても配線を焼くに至らない
  • ロジック部が動いた段階で、モータ部だけを本番電源(リポ・AC アダプタ)に切り替える
  • 全系統を本番電源で運転する前に、必ず動作確認チェックリストを通す

5. データシート読解の扱い

独立章で基礎を教える × 各部品登場章で実例として再掲する、の二段構え。

独立章(第 3 章「データシートの読み方」)

  • データシートの典型的な章構成(Features / Absolute Maximum Ratings / Recommended Operating Conditions / Electrical Characteristics / Pin Configuration / Timing Diagrams / Package)
  • 必ず最初に見るべき項目:絶対最大定格、推奨動作条件、I/O 電流の吸込み/吐出し能力
  • 記号の読み方:V_IH / V_IL、I_OH / I_OL、V_CC、V_DD、T_A、T_J
  • 「typ. / min. / max.」の意味と、min/max を採用すべき場面
  • データシート例:抵抗・LED・Arduino Uno の ATmega328P・汎用 NPN トランジスタ・L298N のような定番モータドライバ

各部品登場章での再掲

  • 新しい部品を使うときは必ずデータシート該当ページのスクリーンショット or 引用を載せ、「この値をなぜ採用したか」を読者と一緒に読み解く 形式にする
  • データシート URL は必ず本文中にリンクで示す(リンク切れ対策として、アーカイブ URL も可能な限り併記する — 要検討)

6. AI エージェントとの役割分担(v0.5 新設)

本書は AI エージェント(ChatGPT、Claude 等)を読者が併用する前提 で設計する。両者の得意領域を明示し、本書の守備範囲を絞る。

AI エージェントに任せてよい領域

  • MCU の選定:「カメラ映像を扱いたい、Wi-Fi も欲しい、予算 1 万円」のような要件を AI に投げれば、Raspberry Pi 4/ESP32-S3/M5Stack Core2 の比較と推奨を即座に出してくれる
  • コード生成:Arduino / MicroPython / Python のサンプルコード生成、エラーメッセージの解読、API 使い方
  • 部品候補の列挙:特定用途(「5V 1A を 3.3V に落とす LDO」)での候補型番を素早く出す
  • データシートの要約:長大な PDF から特定情報を抽出する一次スクリーニング
  • デバッグの仮説出し:症状を伝えれば「こういう原因が考えられる」のリストを出してくれる

AI エージェントに任せきれない(本書が担う)領域

  • 安全の一次判断:煙・焦げ臭・発熱の現場判断、電源投入前の物理的ショートチェック
  • 「今、目の前の回路」のデバッグ:AI は写真を見ても GND 接続の物理的な確かさ、はんだの質、コネクタ接触を判定できない
  • 設計レビュー:AI の出した部品リスト・回路提案の妥当性を 人間側で検証できる基礎 を身につける(AI の間違いに気づけるレベル)
  • 機械系の物理的勘所:寸法、剛性、重心、振動、熱の問題は試作で初めて見えるため AI では代替できない
  • 段階的プロトタイピング:AI は「試作は 6V から」のような workflow 知識を持たないことが多く、持っていても実行は人間側

執筆時の含意

  • MCU 別の「このボードの書き込み方」のようなチュートリアルは 本書では削減(AI と公式ドキュメントで足りる)
  • 本書の章はすべて 「AI が出したものを人間が検証するための基礎」「AI が現時点で代替できないフィジカル知」 のどちらかに該当するよう内容を選ぶ
  • 本書内で必要に応じて 「このステップは AI に任せてよい」「ここは人間がやる」 を明示する

7. 教材ボード選定(v0.5 大幅縮小)

基本思想:AI エージェントに選ばせる前提で、本書は MCU を特定しない

v0.4 まで保持していた「2 トラック制で 5 ボードを並列に扱う」方針は、§6 の AI エージェント活用方針の下では ページ数に対して価値が低い。したがって方針を変更する。

  • 本書は MCU 固有の Hello 章を持たない(v0.4 の第 6〜10 章の各ボード章は廃止)
  • 共通トピック章(Part III)は MCU 非依存の書き方を徹底:特定のピン番号に依存せず、「n 番ピンから PWM を出す」「I2C の SCL/SDA に接続する」といった抽象で書く
  • 作例は Arduino Uno R3 の疑似コードをベース にするが、付録でその他ボード(RasPi Pico / ESP32 / RasPi 4 / M5Stack)への読み替えメモ を最小限提供する
  • 読み替えが複雑になる章では「AI に聞いてください」で十分 と明記する

v1 で推奨するデフォルトボード(作例検証用)

  • 本書の検証済みコード/回路図は Arduino Uno R3 ベース。理由は v0.4 と同じ(流通量、検索ヒット率、5V 事故の教材価値)
  • 読者が別ボードを使う場合は、AI エージェントに「このコードを Raspberry Pi Pico 用に書き換えて」 と依頼する運用が前提
  • 付録に、主要 4 ボード(Pico / ESP32-S3-DevKitC-1 / RasPi 4 / M5Stack Core2)の 最小セットアップ 1 ページメモ を用意

v0.4 から継続する方針(動作保証)

  • 作例は必ず公式品・正規流通品の特定型番で検証(Arduino Uno R3 公式品)
  • クローン品は中立+非推奨スタンス、付録に集約

8. 「壊れる実例」の見せ方(章テンプレ)

各ハンズオン章(Part III 電気系共通トピック)は以下のテンプレートに従う。

  1. 動機:この章で作るもの(1〜2 行)
  2. この章で壊しやすいもの:具体的な型番と失敗パターン
  3. 素朴な(NG)回路/コード を先に提示
  4. なぜダメか をデータシートの該当箇所を引用して解説
  5. 正しい回路/コード の提示と、変更点の根拠(抵抗値・トランジスタ選定理由など)
  6. 動作確認チェックリスト(テスタで何を測るか、電源投入順序)
  7. よくあるトラブル FAQ(煙が出た/動かない/熱い/暴走した)
  8. 次章への橋渡し

このテンプレは「章テンプレ」として別ファイル(docs/_templates/chapter_template.md)に切り出し、分業時は必ずこれを先に埋める運用にする。


9. 機械系のスコープと方針(v0.5 新設)

基本思想:「ロボットは機械と電気の両輪、文法は同じ」

電気だけできても筐体が歪んでモータが回らない、筐体だけできても配線がスパゲティ化して動作が不安定 — どちらも完成しない。電気系と全く同じ構造(基礎 → ワークフロー → トピック)で機械系も扱い、読者が文法を 1 回覚えれば両方に適用できる ようにする。

深さの方針:定性的な直感レベル

読者は「動くロボットを作りたい個人開発者」であって、機械設計者になりたいわけではない。したがって機械系の扱いは 定性的な直感が持てる程度 に留める。

  • 扱う:材料が「どういうときに壊れる/たわむ/滑る」かの 直感、目安値、NG 例
  • 扱わない:応力計算、モーメント計算、疲労解析、厳密なモータ選定計算(トルク×慣性×効率の合成)

電気側で「絶対最大定格 40 mA を超えたら壊れる」を説明するのと同じリズムで、機械側では「M3 ねじのせん断強度は約○○ N、この使い方なら十分/超える」のような目安を示す。定量計算が必要になったら 「CAD 専門書または機械設計ハンドブックへ」 と誘導する。

Part V 機械の基礎(ミラー構造の「機械側の Part I」相当)

電気側の Part II「電気の基礎」(3 章:壊さない基礎/データシート/電源)と対応する 3 章構成。

電気側の対応 扱う内容
18 壊さないための機械基礎 Ch 2 壊さないための基礎 材料の強度・ひずみ・疲労の直感、「何がどう壊れるか」の NG 例
19 機械の工具と部品規格 Ch 1(工具)+ Ch 3(データシート) ノギス/ドライバ/ねじ・ナット・スペーサ・ベアリング、M サイズの読み方
20 寸法・公差・嵌合の読み方 Ch 3 データシート 図面記号、公称寸法、D カット軸、ねじ穴、はめあい

Part VI 機械のワークフロー(電気 Part III のミラー)

電気側の 5 フェーズ(設計/組立/テスト前/テスト中/デバッグ)と対応する。

電気側の対応 扱う内容
21 機械の設計フェーズ Ch 5 設計 要件→材料選定→寸法決定→CAD 出力→AI への相談
22 製作フェーズ Ch 6 組立 レーザーカット・3D プリント・穴あけ・やすりがけ
23 組立前チェック Ch 7 テスト前 寸法確認、嵌合確認、部品の不足・欠品チェック
24 組立中チェック Ch 8 テスト中 締め付けトルク、干渉、クリアランス
25 機械のデバッグ Ch 9 デバッグ 振動/歪み/異音/引っ掛かりの切り分け

Part VII 機械系トピック(電気 Part IV のミラー)

電気側のトピック(LED、モータ、センサ 等)と対応する、機械固有の題材 5 章。

扱う内容 NG 例
26 筐体 アクリル板・アルミフレーム・3D プリント部品の使い分け モータ荷重にアクリル薄板を使い割る
27 駆動部 車輪・ギアボックス・シャフト結合(D カット/イモネジ/フレキシブルカップリング) D カット軸に接着剤だけで車輪を付けて空転
28 モータマウント マウント部材・ねじ径・振動対策 片持ちマウントでモータ軸が垂れる
29 重量・剛性・バランス 重心、モーメントの直感、変形モード、振動 上に電池を載せて重心が高く転倒
30 配線の機械的管理 ケーブルタイ・熱収縮・コネクタ・取り回し モータ近傍で被覆が擦れショート

深追いしない範囲(§3 と整合)

  • 本格的 CAD 設計(Fusion 360、Onshape の操作法)
  • FEM 解析、モータ選定の厳密計算
  • 精密な機械加工(旋盤・フライス盤の運用)
  • 金属加工の安全(別の書籍に委ねる)

機械系の工具

  • 最低限:ノギス(150mm)、M3 ねじセット、六角レンチセット(1.5〜5mm)、プラスドライバ(#0〜#2)、ニッパ(機械用、電子工作用と分ける)、カッターナイフ
  • あると良い:3D プリンタへのアクセス(所有 or 外注)、アルミフレーム(T スロット)とコーナーブラケット、電動ドリル、金属用やすり

10. 最終成果物(卒業課題)

読者が本チュートリアルを完走したときに作れるようになっているもの。

候補(v0.5 見直し — MCU 固定から「方針固定」へ)

  • A. ライントレースカー — DC モータ×2、反射型フォトセンサ、マイコン 1 つ(MCU は読者選択、AI 支援)。電気・モータ・センサ・P 制御+機械組み立ての総合演習
  • B. カメラ付きローバー — SBC(Raspberry Pi が第一候補)ベース、カメラ・モータドライバ、簡易画像処理。機械構造は A と共通テンプレを流用
  • C. 卓上アーム(2〜3 自由度) — サーボモータ、簡易キネマティクス、機械的リンク設計。Part IV の機械系章を最も活かす候補

v1 では A を必須 とし、B・C は v1.1 以降または付録扱いにする(開発リソースの都合)。


11. サイト構造・技術スタック

採用(確定)

  • 静的サイトジェネレータmkdocs + mkdocs-material
  • 多言語化mkdocs-static-i18n プラグイン(docs_structure: suffixindex.ja.md / index.en.md)。英語版は fallback_to_default: true で日本語にフォールバック
  • 数式pymdownx.arithmatex + MathJax
  • コードハイライトpymdownx.highlight
  • 図版:手書き SVG を docs/_assets/fig/ に配置。Fritzing は v0.4 の方針を見直し(§13 を参照)
  • ホスティング:GitHub Pages(.github/workflows/deploy.yml で CI デプロイ)

v1 立ち上げ時の運用

  • まず日本語のみで執筆し、章が固まってから英訳する(index.ja.md のみ、英版は fallback_to_default: true で日本語にフォールバック)
  • 無理に同時多言語化すると用語統一コストが跳ねるため、v1 は日本語ファースト

要検討

  • サイト名・URL・リポジトリ名の正式決定(現状 How-to-Build-Personal-Robot で行くか)
  • ライセンス(本文:CC BY 4.0 / コード:MIT を想定)
  • 部品購入リンクの扱い(アフィリエイトにするか、中立リンクに留めるか)

12. 章構成ドラフト(v2)

v0.5 で全面再編。共通 1 章 → 前半(電気:基礎/ワークフロー/トピック)→ 後半(機械:基礎/ワークフロー/トピック)→ 統合(プロジェクト) のミラー構造。全 31 章 + 付録。

Part I — 共通基礎(全員必読、1 章のみ)

電気にも機械にも関係しない、本書全体の前置きだけを置く。工具・部品の詳細は各 Part の基礎章に譲る。

  1. はじめに — 対象読者、本書の読み方、AI エージェントとの役割分担、個人開発の安全意識、段階的プロトタイピング(第 1 章 §6 相当)

─── 前半:電気系 ───

Part II — 電気の基礎

電気で「壊さない」ための 3 本柱。

  1. 壊さないための電気基礎 — オームの法則、絶対最大定格、GPIO 直結の危険性、テスタの使い方
  2. データシートの読み方 — 典型構成、最初に見るべき 3 項目、記号、typ/min/max、実例ウォークスルー
  3. 電源の基礎 — 電池・AC アダプタ・レギュレータ、ロジック/モータ電源の分離、USB 給電の落とし穴、ブラウンアウト検出

Part III — 電気のワークフロー

プロジェクトを動かすフェーズ別の作業知(電気編)。

  1. 電気の設計フェーズ — 要件定義、AI エージェントへの相談の仕方、部品選定のレビュー観点、BOM 作成
  2. 電気の組立フェーズ — ブレッドボード配線原則、はんだ付け基本、配線の長さ・色分け・ラベリング、コネクタ選び
  3. 電気のテスト前チェック — 目視/導通/電圧/極性/分離の全手順
  4. 電気のテスト中チェック — 電源投入直後の観察と計測、発熱判定、ブラウンアウト検出
  5. 電気のデバッグ — GND 確認・電圧実測・シリアル print・分離テスト法、症状別対処カタログ

Part IV — 電気系トピック(MCU 非依存)

§8 の章テンプレで書く。作例は Arduino Uno R3 を暗黙デフォルトとし、他ボードへの読み替えは付録メモと AI に委ねる。

  1. LED を正しく光らせる — 電流制限抵抗、VF、高輝度 LED の注意
  2. スイッチ入力 — プルアップ/プルダウン、オープン入力の危険性、チャタリング
  3. トランジスタ/MOSFET をスイッチとして使う — GPIO で大電流を扱う、ゲート抵抗、ロジックレベル MOSFET
  4. DC モータを回す — モータドライバ IC、逆起電力、電源分離
  5. PWM と速度制御 — ハード/ソフト PWM、周波数の選び方
  6. サーボモータ — PWM 信号、電源容量、ブラウンアウト対策
  7. センサ入門 — アナログ入力、I2C、SPI、5V/3.3V 混在のレベル変換
  8. (任意)ステッピングモータ — A4988/DRV8825、マイクロステップ、電流制限

─── 後半:機械系 ───

Part V — 機械の基礎(ミラー:電気 Part II に対応)

機械で「壊さない・動かなくしない」ための 3 本柱。定性的な直感 レベル(§9)。

  1. 壊さないための機械基礎 — 材料の強度・ひずみ・疲労・摩擦の直感、「何がどう壊れるか」の NG 例
  2. 機械の工具と部品規格 — ノギス/ドライバ/M ねじ/ナット/スペーサ/ベアリング、規格表の読み方
  3. 寸法・公差・嵌合の読み方 — 図面記号、公称寸法、D カット軸、ねじ穴、はめあい

Part VI — 機械のワークフロー(ミラー:電気 Part III に対応)

機械版のフェーズ別作業知。

  1. 機械の設計フェーズ — 要件→材料選定→寸法決定→CAD 出力、AI エージェントへの相談
  2. 製作フェーズ — レーザーカット・3D プリント・穴あけ・やすりがけ
  3. 組立前チェック — 寸法確認、嵌合確認、部品の不足・欠品チェック
  4. 組立中チェック — 締め付けトルク、干渉、クリアランス
  5. 機械のデバッグ — 振動/歪み/異音/引っ掛かりの切り分け

Part VII — 機械系トピック(ミラー:電気 Part IV に対応)

  1. 筐体 — アクリル板・アルミフレーム・3D プリント部品の使い分けと NG パターン
  2. 駆動部 — 車輪・ギアボックス・シャフト結合(D カット/イモネジ/カップリング)
  3. モータマウント — マウント部材、ねじ径、振動対策
  4. 重量・剛性・バランス — 重心位置、変形モード、振動
  5. 配線の機械的管理 — ケーブルタイ、熱収縮、コネクタ、取り回しルール

─── 統合 ───

Part VIII — プロジェクト

  1. プロジェクト A:ライントレースカー — 電気+機械の総合演習。v1 の必須プロジェクト

(v1.1 以降:プロジェクト B カメラ付きローバー、プロジェクト C 卓上アームを追加予定)

付録

  • A. AI エージェントに聞くときのプロンプト例 — MCU 選定・コード生成・デバッグ相談・CAD モデル生成
  • B. 各ボード最小セットアップメモ — Pico / ESP32-S3 / RasPi 4 / M5Stack Core2 を各 1 ページで
  • C. クローンボードの取り扱い
  • D. Fritzing/回路図ツールの運用メモ(v0.5 では判断保留、§13 参照)

章数とバランスの前提

  • 電気系:基礎 3 + ワークフロー 5 + トピック 8 = 16 章
  • 機械系:基礎 3 + ワークフロー 5 + トピック 5 = 13 章
  • 共通 1 + プロジェクト 1 = 2 章
  • 合計 31 章 + 付録 4 本
  • 機械側トピックが電気より少ないのは、電気の個別素子(LED・トランジスタ・モータ・PWM 等)がそれぞれ 1 章必要なのに対し、機械トピックは統合度が高く 5 章で十分カバーできるため(v1 時点の判断)

13. 執筆ルール(分業時の共通仕様)

動作保証の編集方針(v0.4 から継続)

  • 作例は必ず公式品の特定型番で検証(Arduino Uno R3 公式品)
  • クローン品は中立+非推奨、付録に集約
  • クローン固有のトラブル(USB シリアルドライバ、偽造チップ等)は付録 FAQ で受ける

文体

  • 「です・ます」調(敬体)。読者を見下さない
  • 専門用語は初出時に必ずカッコ書きで簡単な定義を添える
  • 英語表記は原則カタカナ併記(例:「ソース電流(source current)」)

図版・回路図(v0.5 で再検討)

v0.4 で採用した Fritzing は、GUI 操作が必須・ヘッドレス実行不可 という性質上、AI エージェントで自動生成できない というボトルネックがある。v1 の章生成を AI エージェントで並列化する運用と相性が悪い。

v0.5 では当面以下の運用に変更する(要検討)。

  • 手書き SVG を第一選択:mkdocs からそのままレンダリングでき、AI エージェントも XML として出力できる
  • ブレッドボード図とシェマティック図の併記 は継続(§11 の原則)
  • Fritzing 独自ライブラリ化はスコープ外:AI による自動生成と共存できないため v1 では採用しない
  • 読者が自分で描き直したい場合は TinkerCAD Circuits / Wokwi / Fritzing のいずれかを好みで と誘導

コード

  • 作例は Arduino 言語(C++ ベース)を第一 にする。MCU 非依存で書けるため
  • MicroPython / Python は必要に応じて併記(RasPi 作例など)
  • 写経可能な 完全動作コード を載せる。部分抜粋にとどめない。GitHub 上のリンクを併記

移植ポイント差分表(v0.5 で縮小)

v0.4 で必須としていた 5 ボード横断の差分表は、§7 の方針に従い v0.5 では必須から外す。代わりに:

  • 各章末に 「他ボードで使うときは AI に聞いてください」 セクションを置く
  • 付録 B「各ボード最小セットアップメモ」で、プログラム書き込み・ピン名の違いだけを集約

admonition 運用

  • !!! danger:人体・機材に即座にダメージが出るもの(感電、発火、失明、リポバッテリ発火)
  • !!! warning:部品焼損・誤動作の可能性
  • !!! note:補足・豆知識
  • !!! tip:作業を楽にする Tips
  • !!! info:背景・前提の解説、章間参照の案内

14. 未決事項(要検討リスト)

決定済み項目(参考)

v0.2 〜 v0.4 で確定した主要事項(v0.5 で見直したものは打ち消し線):

  • v0.2:教材ボードに ESP32 / M5Stack / RP2040 を含める(2 トラック制、§6)v0.5 で廃止。AI 委譲方針で MCU 固有詳細は扱わない(§7)
  • v0.2:卒業課題は各トラックごとに 1 本ずつ(A: メイン、B: RasPi、C: M5Stack)v0.5 で見直し。v1 は A のみ必須、B・C は v1.1 以降(§10)
  • v0.2:Arduino ⇄ RasPi の段階進行は廃止、選定ガイドで目的先行に誘導(§6)→ v0.5 で強化:選定自体を AI に委ねる
  • v0.3:Arduino Uno は R3 を primary、R4 Minima は章末コラムv0.5 で整理:作例検証用のデフォルトが R3 であるという位置づけは継続、章末コラムは不要に
  • v0.3:ESP32 DevKit は ESP32-S3-DevKitC-1 を primary、WROOM-32 DevKit は付録v0.5 で整理:ESP32 自体が付録レベルに
  • v0.3:動作保証は公式品の特定型番でのみ行う、クローンは中立・非推奨扱いで付録に集約(§13)
  • v0.4:RasPi / M5Stack トラックの primary 機種決定v0.5 で見直し:付録メモレベル
  • v0.4:Part IV 共通トピック章は全章 Arduino Uno R3 を代表ボードにデフォルトv0.5 で継続(ただし「差分表必須」は緩和、§13)
  • v0.4:回路図ツールは Fritzing を採用、ブレッドボード図+シェマティック図の併記+独自ライブラリ化を必須v0.5 で見直し:Fritzing の独自ライブラリ化は外し、手書き SVG を第一選択に(§13)

v0.5 で新規決定した項目

  • v0.5:AI エージェント活用を前提に本書のスコープを再定義(§1、§6)
  • v0.5:MCU 個別ボードの Hello 章を廃止、付録の 1 ページメモに集約(§7)
  • v0.5:安全ファースト方針に「故意の破壊 vs 事故」「個人開発リスク」「段階的プロトタイピング」を明文化(§4)
  • v0.5 改訂電気系と機械系をミラー構造で並列配置(各々 基礎/ワークフロー/トピック の 3 Part)。全 8 Part / 31 章に再編(§12)
  • v0.5 改訂:フェーズ別ワークフロー章を電気側(Ch 5-9)/機械側(Ch 21-25)に分離。同じ 5 フェーズ骨格(設計→組立/製作→組立前/テスト前→組立中/テスト中→デバッグ)を両側に展開(§9、§12)
  • v0.5 改訂:機械系の扱いは 「定性的な直感レベル」 まで。応力・モーメント計算、FEM、モータ厳密選定は範囲外。必要時は外部資料へ誘導(§9)
  • v0.5 改訂:共通基礎(Part I)を 1 章に軽量化。工具・部品リストは各 Part の基礎章に分散(§12)

まだ決まっていない項目

  • Part VII 機械系トピックの検証済み部品リスト(M3 ねじ、D カット軸径、アルミフレームの規格、ベアリング)
  • 卒業課題 B・C(RasPi ローバー、卓上アーム)を v1.1 の必須に入れるか
  • Part III/Part VI ワークフロー章の検証環境(AI 相談プロンプト例集を付録 A でどこまで作り込むか)
  • 手書き SVG の描画ガイドライン(配色・線幅・フォントの統一ルール)を別文書に切り出すか
  • 部品購入リンクの扱い(公式代理店=Switch Science / 秋月へ中立リンク、アフィリエイト不可、で良いか)
  • サイト/リポジトリの正式名称(現状 How-to-Build-Personal-Robot 継続か)
  • ライセンス(本文:CC BY 4.0 / コード:MIT で確定してよいか)
  • データシート引用の著作権上の扱いと、アーカイブ URL 併記の運用
  • 日英同時展開か、日本語ファーストで後追い英訳か(現状は後者で進行中)
  • Windows 環境への移行と git リポジトリ運用方針(確認中)

15. 次のステップ

  1. 本 v0.5 方針書のレビュー(ユーザー)
  2. 既存の stub 章・サイト構造を v0.5 ミラー構造に合わせて整理
    • 廃止:docs/selection-guide/docs/hello/ 以下の Hello 章 5 本
    • 既存 Part I 相当:docs/getting-started/電気の基礎(新 Part II) として再配置
      • Ch 1 はじめに は据え置き(§12 Part I 相当に再配置)
      • Ch 2 / 3 / 4 は 電気の基礎 として Part II に
    • 新設:docs/workflow-electrical/ 以下に電気のワークフロー 5 章(新 Part III)
    • 既存:docs/topics/ 以下を 電気系トピック(新 Part IV) として流用
    • 新設:docs/basics-mechanical/ に機械の基礎 3 章(新 Part V)
    • 新設:docs/workflow-mechanical/ に機械のワークフロー 5 章(新 Part VI)
    • 新設:docs/topics-mechanical/ に機械系トピック 5 章(新 Part VII)
    • 既存:docs/projects/ からプロジェクト A のみ残す(新 Part VIII)
    • mkdocs.yml の nav を 8 部構成に再編
  3. 新設ディレクトリに stub(!!! note "この章のステータス" ドラフト作成中の形式)を一括投入
  4. Part III 電気ワークフロー(Ch 5〜9)の執筆開始
  5. 既存 Part IV 電気トピック(Ch 10〜17)の stub を共通章テンプレに沿って順次埋める
  6. Part V 機械の基礎(Ch 18〜20)の新規執筆
  7. Part VI 機械ワークフロー(Ch 21〜25)の新規執筆
  8. Part VII 機械トピック(Ch 26〜30)の新規執筆
  9. プロジェクト A(Ch 31 ライントレースカー)を卒業課題として仕上げる
  10. 通読レビューで用語・レベル・安全喚起の濃さを統一

最終更新:2026-04-24 / v1.0 版(全 31 章執筆完了、本方針書 v0.5 ベース:AI エージェント活用前提の再編、MCU 固有章の廃止、電気系/機械系のミラー構造化、フェーズ別ワークフロー章の新設、全 8 Part / 31 章構成)

16. v1 完成ステータス(2026-04-24)

本書は v1.0 版として、Part I〜VIII の全 31 章の本文執筆を完了

Part 内容 状態
I 1 共通基礎(安全・読み方・AI 活用) ✅ 完成
II 2-4 電気の基礎(壊さない基礎・データシート・電源) ✅ 完成
III 5-9 電気のワークフロー(設計→組立→テスト前→テスト中→デバッグ) ✅ 完成
IV 10-17 電気系トピック(LED・スイッチ・トランジスタ・モータ・PWM・サーボ・センサ・ステッピング) ✅ 完成
V 18-20 機械の基礎(壊さない基礎・工具と規格・寸法公差嵌合) ✅ 完成
VI 21-25 機械のワークフロー(設計→製作→組立前→組立中→デバッグ) ✅ 完成
VII 26-30 機械系トピック(筐体・駆動部・マウント・バランス・配線) ✅ 完成
VIII 31 プロジェクト A(ライントレースカー) ✅ 完成
付録 A-D AI プロンプト集/ボード最小セットアップメモ/クローンボード/図版ツール ⏳ v1.1 以降

主要指標: - 本文:約 8,000 行 + SVG 図 39 枚 - 内部リンク:158 件(すべて解決、mkdocs build --strict 通過) - 失敗パターン事例:55+ 件(各フェーズ章・トピック章の FAQ/失敗パターン集に分散配置) - 章テンプレ(動機→NG→根拠→正解→チェックリスト→FAQ→橋渡し)遵守:Part IV/VII の全 13 章で統一

今後の方向性: - 付録章の執筆(AI プロンプト集は特に優先度高) - 読者フィードバックに基づく用語・手順の精緻化 - v1.1 でプロジェクト B(カメラ付きローバー)・C(卓上アーム)の追加 - 英訳版(i18n の英語ファイル)の整備